数学の「気持ち」を考える

数学の気持ちを理解したい人のためのブログ

今日の入試問題(21 同志社大・社)

問題

 

 数列  \{a_n\},\,\{b_n\} は, a_1=-2,\,b_1=-3 であり,

 

 a_{n+1}=3a_n+2b_n,\quad b_{n+1}=3a_n-2b_n \quad (n=1,\,2,\,3,\cdots)

 

を満たす。このとき,一般項は  a_n=\boxed{\phantom{hoge}}\,,\,b_n=\boxed{\phantom{hoge}} と求まる。

 

 

連立漸化式の問題ですね。

係数が対称の場合は,2つの式の和と差を考えると解き進めることができますが,今回は次の結果を見て分かる通り,あんまり嬉しいことが起きません。

 

 a_{n+1}+b_{n+1}=6a_n,\quad a_{n+1}-b_{n+1}=4b_n

 

そこで,ここでは2つの「気持ち」を紹介します。

 

気持ち① 連立方程式と同じように解けないかな

 

漸化式とは言っても,「連立」というからには連立方程式と似た方針で解けないかなあ。

 

ということで,連立方程式の解き方を思い出してみると,中学校で加減法と代入法の2つを習いました。結局は「文字を減らすこと」に尽きますね。

 

そこで, a_n,\,b_nのうち,片方を最初に消去することを考えます。

 

今回は b_nを消去してみましょう。b_n=( a_n の式 )の形の式を作って,代入します。

 

 a_{n+1}=3a_n+2b_nより,

 \displaystyle b_n=\frac{1}{2}a_{n+1}-\frac{3}{2}a_n.

これを b_{n+1}=3b_n-2a_nに代入して整理すると,

 a_{n+2}-a_{n+1}-12a_n=0.

あとは3項間漸化式を解けば答えが得られます。

 

ちなみに,答えは

\displaystyle a_n=\frac{-18\cdot 4^{n-1}+4(-3)^{n-1}}{7},\quad b_n=\frac{-9\cdot 4^{n-1}-12(-3)^{n-1}}{7}

となります。

 

 

気持ち② 等比数列を作れないかな

 

漸化式は,基本的に

 

  等差数列型   a_{n+1}=a_n+d

  等比数列型   a_{n+1}=r a_n

  階差数列型   a_{n+1}=a_n+f(n)

 

のいずれかの形に帰着させて解いていきます。

 

気持ち①は連立漸化式を3項間漸化式に変形しましたが,この3項間漸化式も結局は等比数列型に帰着させて解いていきます。

 

そこで,この問題もいきなり等比数列型あたりに帰着できないかなあなんて考えます。

 

 a_{n+1},\,b_{n+1},\,a_n,\,b_nを一つの漸化式に,しかも等比数列型にしたいので,

 a_{n+1}+\alpha b_{n+1}=\beta (a_n+\alpha b_n)\tag{*}

という形になってくれたらいい感じです。

 

この式を満たす \alpha,\,\betaを見つけるために,与えられた漸化式

 a_{n+1}=3a_n+2b_n,\quad b_{n+1}=3a_n-2b_n

を代入して整理すると

 (3\alpha+3)a_n+(2-2\alpha)b_n=\beta a_n+\alpha\beta b_n.

 

ここで,係数を比較すると

 3\alpha+3=\beta,\quad 2-2\alpha=\alpha\beta

となり,これを解いて

 \displaystyle (\alpha,\,\beta)=\left(\frac{1}{3},\,4\right),\,(-2,\,-3).

 

よって,与えられた連立漸化式から,2つの等比数列型の漸化式

\displaystyle a_{n+1}+\frac{1}{3} b_{n+1}=4 \left(a_n+\frac{1}{3} b_n\right) \tag{A}

 a_{n+1}-2 b_{n+1}=-3 (a_n-2 b_n)\tag{B}

が得られます。

 

(A) より,

 \displaystyle a_n+\frac{1}{3}b_n=-3\cdot 4^{n-1} \tag{A*}

(B) より,

 a_n-2b_n=4(-3)^{n-1}

がわかるので,あとは差をとったりあーだこーだすれば答えが得られます。

 

 

ちなみに,(A*)を変形して得られる

b_n=-3a_n-9\cdot 4^{n-1}

 b_{n+1}=3a_n-2b_nに代入して2項間漸化式に帰着することもできます。

 

いや、まあこれはこれで計算が面倒なのですが。

 

 

 

さて,今回はここまでです。初めての記事でしたが,なかなか難しいですね。

 

このブログでは,途中の細かな計算にはあまりこだわらず,「方針をどのような『気持ち』で定めるか」に特化した記事を書いていく予定です。

 

もしよければ今後の記事も見てもらえると嬉しいです!それでは!